「フォーラム’80」の原点は昭和13年(1938年)に設立された「昭和塾」にあります。初代会長の大来佐武郎先生の「設立の趣旨」にもありますように、「昭和塾」は言論統制が始まり人々が自由に情報を入手できなくなり始めた時代に、将来を担う若者たちに国家・世界の姿をありのままに教え、若者たちに真実を見つめる場を提供し、若者の考え方に強く影響を与えた私塾であります。そこを巣立った多くの人材が敗戦後の日本の発展に果した功績は広く知られています。初代会長の大来先生は「昭和塾」に学んだ経験が自身の考え方に決定的な影響を与えたとして、昭和53年(1978年)にこの「フォーラム’80」の設立を提唱されました。

　初代会長大来先生の情熱から生まれた「フォーラム’80」は設立より30年を超え、「フォーラム’80」で共に学んだ3000名近い受講生・OBは日本のみならず世界の各方面で活躍しています。私どもは大来先生の志を継ぎ、引き続き日本を担う有為の人材を育てる『場』として「フォーラム’80」に多くの意欲ある若者を招き、日本を指導できる健全な良識の輪を広げてゆきたいと考えます。

　現代は情報化社会といわれ「昭和塾」の当時とは大きく事情を異にしていますが、世界的なイデオロギー対立時代の終焉のあとにまた新しい大きな矛盾が世界を覆い、私たちにも改めて個人・社会・国家のあり方を問いかけてきています。

　幕末から明治維新にかけて有為な人材を輩出した「松下村塾」、「適塾」、そしてあの荒廃した第二次世界大戦後の日本を復興と発展に導いた多くの人材を育てた「昭和塾」。共通することはいずれも大きな時代の流れの中で時勢に流されず常に真実を追い求めそして見失わないその姿です。

　そうした先人たちの気概と情熱を忘れず、「フォーラム’80」は平成の「昭和塾」として優れた英知と高潔な人格を備え、新しい世界観、国家観、人生観をもって大きな舞台で存分に役割を果たしていく有為な人材の養成とそうした人材の属する組織を超えた有機的なネットワークを作り上げて参りたいと存じます。

　皆様の引き続きのご支援とご鞭撻をお願いし申し上げます。